特集知っておきたい基礎知識
2017.11.17 
知っておきたい!物件の接道条件の考え方。再建築か改修か?

古くなってきた物件の建替えを考える時、老朽化した設備や耐震など、気になるポイントがたくさん浮かんできますよね。


でもちょっと待ってください。物件によっては、そもそも建替え(=再建築)できないケースがあるんです。今回は物件が再建築可能かどうかを見極めるポイント、「接道条件」について解説します。


その建物、接道していますか?


建築基準法では、建物の新築には接道義務が求められています。まずあなたの物件が一面でも道に接しているかどうか確認しましょう。もし奥まった場所にある建物でも、旗竿敷地という特殊な接道の仕方をしている可能性があります。




例えばこちらの通路は幅2m以上ある通路で写真の手前で道路と接しています。もしこの通路の幅が2m未満の場合は、接道していないことと同じ扱いとなり再建築不可=建て替えできない、ということになります。


なおアパートなど建築基準法で特殊建築物(共同住宅)として扱われている建物の場合、自治体によっては接道条件がより詳細に定まっている場合があるので要注意です。(たとえば接道している敷地の幅が何m以上、通路の幅が何m以上、など)



その道路、本当に「道路」ですか?



接道していたら、次は道路の幅をチェックしてみましょう。4m以上の幅があればそれは接道条件を十分に満たしている可能性が高いです。一方、4m未満の道路の場合は要注意です。実は建築基準法上「道路」と呼ばれているのは主に建築基準法42条に定められているものです。代表的なものとして、


・道路法による道路(国道、県道、市道等)

・土地区画整理法、都市計画法その他の法令による道路


などが上げられます。


これらを判断する基準のひとつが道路幅ということです。一方4m未満でも「道路」として扱われている場合があります。その代表的なものは、


・建築基準法施行の際、既に建築物が立ち並んでいる4m未満の道路で、将来は4mに拡幅が可能と特定行政庁が指定した道路


で、こちらは42条第2項に記載されているため「2項道路」「みなし道路」と呼称されています。




2項道路の場合は、建替えの際に道路中心線から2mの位置が敷地境界になるよう、土地の範囲を調整する必要があります。こうして向かい側の家と協力して4m幅の道路を作るのです。


もし道の種類が分からない場合は、お住まいの自治体で道路台帳を見ることで詳細を確認することをおすすめします。



建替えではなく改修。せっかくやるならレシピで丁寧に。


建替えのできない土地は、道が狭く建物も密集しています。昔ながらの町の風景は親しみ深い一方で、火災や地震の際のリスクを抱えています。


また例えばアパートは「共同住宅」と呼ばれる特殊建築物のため、主要構造部の過半を改修する場合は確認申請(※)が必要となります。半分を超えない改修の場合は確認申請が不要ということですが、防災的な観点も踏まえた丁寧な改修が必要なのは言うまでもありません。


※確認申請…建物の建築行為(新築、条件を超える模様替え・修繕などの改修等)にあたって、建築基準法への遵法を確認するための申請行為のこと。



接道していない=再建築不可の土地は不動産価値が低くなってしまいます。お金をかけて大掛かりな改修を検討する前に、隣接する敷地の人から旗竿通路の分の土地を購入したり、土地を換地したり、接道条件を整えることから検討してみるのはいかがでしょうか。


もしすぐに条件整備できない場合も、諦めずに最小限の改修費でアパートを再生し、次のステップへ進む方策を考えてみましょう。


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今回は建替ではなく改修で対応しなければいけない条件を整理してみました。モクチン企画では各種専門家との連携で、建物全体の改修相談も承っております。長いスパンで改修の方策を考えている方や、今すぐできることにお悩みの方は、「モクチン相談室」まで是非お問い合わせください。


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