原状回復済みだがなかなか入居者が決まらない築古物件の改修

「リノベーション図鑑」では、モクチン企画が行った物件改修のポイントを解説しています。今回は原状回復済みの築古物件に対し、さらに最小限の改修を加えて、物件の魅力をアップさせた事例をお伝えします。


原状回復をしたはいいが、なかなか決まらない部屋というものはよくあります。築古だとなおさらです。追加で投資するにも多額のコストはかけられず、しかし一方でこのまま放置しておくわけにもいきません。


そういった物件は、いわば入居者の選択肢になっていない状態にあるといえるでしょう。改めて空間をよく観察し、着実に現状以上の物件にランクアップさせる改修が必要です。今回は、私たちが物件をどのように分析し、改修案を組み立てたのかをご説明していきます。




よく観察して、改めて物件の魅力と問題を分析しよう


今回ご紹介するのは、都内にある築40年越えの木造アパートの一室の事例です。 駅から20分程度の住宅街にありますが、2駅を利用できる立地にありポテンシャルはある物件でした。




室内はクリーニング済みでした。入ってすぐの玄関/キッチンスペースは、一般的な1K物件に比べると少し余裕があり広い印象です。壁面は塗装仕上げになっており、白というよりはややクリーム色に近い感じでしたが、黄ばんでいるようネガティブな印象は感じられなかったのでこのまま使えそうです。

一方で天井と床が濃い色になっており、それが原因か少し薄暗い印象を受けました。また床に貼られているクッションフロアの色味・柄が時代を感じさせるような古臭いイメージに感じられました 。

 



物件とはマッチしていない床材。こういった古いディテールをレトロで味があるものとして残しておくか、古臭いから変えるかは判断に悩むところではありますが、全体の改修方針の中で都度検討していく必要があります。




浴室とトイレは別になっています。 洗濯機置き場も室内にありました。古いタイプの物件のため、給湯器は室内設置型になっていました。




浴室は1畳ほどのスペースに正方形に近い最小限の浴槽とシャワースペースがあるような形です。 こちらは全体的に状態が良く、清潔な印象もありましたのであまり手を加えずに生かすことができそうです。タイルも可愛らしい印象でした。






次に居室の方を見ていきます。ザ・木賃アパートと言った真壁造の六畳の和室でした。原状回復は済んでおり、畳も新しいものが入っています。また窓からは明るく光が差し込み、居心地の良い空間でした。 こちらは基本的には活かす方向です。


分析がうまくできたら、あとひと手間を加えてみよう


以上が改修前の状態になります。現状回復済みで全体的に状態が良いので、こういった場合にはマイナス要素を発見してそこをフォローしていくのがポイントになります。この物件の場合ですと、居室は気持ちのいい木造らしい空間になっているので、居室に比べて薄暗く感じられてしまっている玄関・キッチンスペース側をどう変えていくかになります。 

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さて、ではこの物件がどのように変わったのでしょうか。早速見てみましょう。




いかがでしょうか。部分的な改修ですが、印象が大きく変わりました。 

古臭く、また色が濃すぎるため部屋を暗くする要因の一つにもなっていた床を「のっぺりフロア」に変えることでシンプルで爽やかな印象に変わりました。また壁面は状態が良かったのでそのまま利用し、天井は壁面と色を合わせて塗装しています。色味が濃く、部屋を暗い印象にしていた天井・床を変えることで、部屋全体に光が廻り込むようになり明るい印象に変わりました。

 


また今回の改修のポイントとして居室はそのまま生かし玄関・キッチン室側の印象を変えるという方針がありましたが、その際に部屋と部屋の切り替わり部分となる間仕切り周りにポイントを絞っています。一つ目は建具に「シャイニングふすま」に使うことで、アクセントとなるようなものにしています。また床と同じような色味になることで統一感も生み出しています。合わせて間仕切り壁の上部には「ひさし棚」をつけることで、新たな収納スペースが生まれています。




居室側から見た写真。「のっぺりフロア」にすることで以前に比べて明るく 明るくシンプルな印象に変わりました。三和土(たたき)のような印象です。また建具に「シャイニングふすま」を使うことで木部が引き立ち空間に表情が生まれました。





居室の方は状態がよくもともと気持ち良い空間にもなっていたので、基本的にはを照明を「ライティングレール」に交換し、スイッチプレートを「チーム銀色」でシルバー系に交換しているのみです。

ポイントとしては、板張り天井の濃い色に合わせ「ライティングレール」を黒系で統一しています。




最後に水回りです。こちらは状態が良かったので表装はそのまま使い、「チーム銀色」でシャワーヘッド・ホース・水栓ハンドルなどを交換しています(水栓器具自体は既存利用です)また「横長いっぱいミラー」を使って広がりを生み出しています。 タイル張りの小さな浴室が、少し手を加えてあげるだけでモダンな印象に大きく変わりました。


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かくして、最小限の手数で部分的に改修するだけでも、元が良い場合には少し手を加えるだけで物件価値を向上することができます。冒頭でも述べたように、原状回復済みの物件では、改めての物件の分析が重要になります。分析をしっかりした上でポイントを絞って改修することで、コストを抑えながら物件の魅力を引き出すことが可能です。


「アパート改修デザイン講座」「モクチンスクール報告書」では具体的な物件の物件の分析方法やレシピの組み合わせ方を学ぶ事ができます。こちらもぜひ参考にしてみてください。

 

では!


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