いつもの原状回復ではなんだか変わり映えがしない、差別化につながる仕上げに変えてみたい。回復したときの見栄えも大事だけれど、長く綺麗に維持するにはどうしたらいいんだろう?
そうした疑問に応えるべく、今回は代表的な壁材について、施工時のポイントまで踏み込んだ知識をお伝えします。
値段が安い、種類が多い、早くきれいにできる。ビニルクロスはもはや改修時の定番品ですね。
賃貸物件の大半にビニルクロスが使われていますが、実は気にすべきことがたくさんあります。
ビニルクロスをきれいに仕上げるには下地処理が重要です。手間はかかりますが、前の壁紙をしっかり剥がして傷んでいる箇所はパテで補修をしてから貼り直す、これが基本です。
ところが、貼ってしまえば分からないから、と古いビニルクロスの上から新しいものを貼り直しているなんてことがあります。傷んだクロスをはがすと、昔のビニルクロスが出てきた、なんてことはありませんか?モクチン企画が調査した物件でも、何重にも重なっていた物件がありました。
古い壁紙の上からただ貼り直すだけでは、改修直後はきれいでも長く住むうちに継ぎ目からめくれてきたりふくらみやすくなってしまいます。壁紙のピシッと締まらない部屋は、借りる人にとっても気持ちのよい部屋ではありませんよね。
例えば部屋をきれいな白色にまとめるためのレシピ、「ホワイト大壁」で紹介しているビニルクロスは、なるべく白くシンプルに見えるものを選んでいます。厚手と薄手の二種類を紹介していますので、下地の状況があまりよくないときは厚手のリフォーム用を、きれいに下地処理できる場合は薄手を使いましょう。
洋室と比べてさらに難しいのが、和室の壁です。触ってポロポロとこぼれるものは昔ながらの砂壁でしょう。砂壁にいきなりビニルクロスを貼ると、きれいに貼れなかったり剥がれやすかったり、一筋縄ではいきません。
そこでおすすめなのが、「ぱきっと真壁」でご紹介している、塗装で仕上げる方法です。壁の塗装にはいくつか種類がありますが、モクチン企画ではAEP塗装(アクリルエマルションペイントの塗料)で発注しています。ツヤは三分ツヤ程度に抑えてあげるのがポイントです。もともとの木部の味は残しつつ、砂壁部分を塗ることでフレッシュな印象になります。
暗い色の砂壁は見えない汚れやヤニなどを吸い込んでいる場合があります。塗装は下地の汚れやアクを吸い上げてしまうので、必ずシーラー(下塗材)で表面を固めてから塗装しましょう。
代表的なビニルクロスや塗装について説明してきましたがいかがでしたか?見えない部分の処理が、最終的な仕上げの質を左右することがお分かりいただけたかと思います。
とはいえ、入居者の方に大切に使ってもらえなければ、退去のたびに交換を繰り返すことになってしまいます。
© kentahasegawa
室内喫煙やペット飼育は一般的な壁紙や塗装の天敵です。そういった使い方の禁止を募集条件として明記しておくことで、入居後の使い方をある程度コントロールすることが可能になります。管理会社さんに任せっぱなしにしていると意外と忘れがちな部分ですが、募集条件を調整するだけでその後の物件維持が大幅にやりやすくなることもあるのです。
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モクチンレシピでは発注者さんと受注される工務店さんのコミュニケーションツールにもなる、詳細な図面資料を提供しています。今回ご紹介している壁紙や塗装の具体的な品番、塗り方のポイントなどを見てみたい方は、メンバーズ会員へのご登録を検討してみてください!
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