特集パートナーズ・インタビュー
2018.03.23 
平和建設の場合:不動産業って難しい!? 新たな「まちの不動産屋」への挑戦【後編】

モクチン企画には、「パートナーズ会員」という地域密着型の不動産会社や工務店と提携するための仕組みがあります。個性的で面白い方々が集まるパートナーズ会員は、「モクチンレシピ」を日常的に使うヘビー・ユーザーです。この特集では、そんなパートナーズのみなさんへのインタビューをお届けします。何を大事に日々の仕事に取り組んでいるのか? モクチン企画と協働する狙いはなにか? みなさんの仕事とビジョンについて、お話を伺います。


記念すべき第一回目のインタビュー相手は、埼玉県の平和建設株式会社、代表取締役の河邉政明さん、奥様の典子さんです。2015年の協働開始直後から積極的にレシピを使い、すでに30件を超えるレシピを使った物件改修を手がけられています(2018年3月現在)。そんな河邉さんの描く未来は、いわる「まちの不動産屋さん」のイメージを更新してゆこうとするものでした。

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クリエイティブの地産地消をめざす。トダ_ピースについて


モクチン企画 中村(以下M):レシピを使ってそこまで成果を上げられているとは、正直驚きました。すばらしいですね。最近はレシピによる改修だけでなく、独自のプロジェクトも立ち上げられたと伺っていますが、それはどういうものなのでしょうか?


平和建設 河邉(以下H):「トダ_ピース」というプロジェクトを2017年の11月に立ち上げました。地元の物件で暮らすクリエイターやデザイナーを集めて、クリエイティブな仕事が地産地消されるような状況を作れないかと考えています。戸田周辺に住む人達が作って、戸田周辺に住む人達が楽しんで使っていくというのができれば一番いいかなと。




M:なるほど。まちの不動産屋さんならではの発想ですね! 進捗の方はいかがですか?


H:まだまだ手探り状態ですが、ロゴ、チラシ、フェイスブックページなんかを作って、やっと体裁がととのったという段階です。これからどんどん仲間を増やしていきたいですね。現時点では、モクチンレシピで改修した物件を、トダ_ピースのプロジェクトとして発信しています。それらに入居してくれる、ちょっと面白い人達を巻き込むことで、何か面白いことがやれたらと思っています。


M:それは良いですね。平和建設さんで手がけた物件が、新しい人たちを支えていくと。物件を改修するのと同じくらい、コミュニティづくりも大事になりそうですね。


H:そうですね。今後は物件と人の二本柱を建てられればと思います。


M:参考にしているプロジェクトはありますか?


H:参考にしているのは、大田区蒲田のまちづくり活動、「@カマタ」ですね。イベントにも参加したり、色々と視察させてもらってます。トダ_ピースも、地場の人と外様の人、両方が集まる場所を目指していきたいです。



「業界の常識」で諦めない




M:うれしいですね。モクチン企画のメンバーが@カマタに参加している縁で、よくイベントにも来ていただいていますものね。そういった部分も含めて考えると、平和建設さんにとって、パートナーズ会員との協働で得たものはなんだったんでしょうか。


H:モクチン企画との協働を通して、これまでとは全く違う業種、業界、価値観の人達と繋がれた。知り合えたのはとても大きいし、財産だと思っています。そもそも不動産関連の仕事は縦割りが慣習で、職種が違えば話も通じないものと思い込んでいました。そんな常識を、モクチン企画は覆してくれました。工務店に指示や注文を出していいんだと初めて教わったんです。


M:やはり別業種からの転職ということで、業界への違和感などがあったんでしょうか。


H:違和感はありましたが、「業界のルール」だと言われて諦めていました。ある案件で、屋根の色を黒で注文していたのに、緑になっていたときは、本当にビックリしました(笑)。自宅を建てるときにもそういう意志疎通のズレがあって、工務店が余った部材で余計な造作を付け足してしまうというのがごく当たり前に行われている。そういう事態がまかり通っていたところを、きちんと正していく意識を持つことができました。


M:そうなると、平和建設さんがレシピを操る一方で、工務店や大工さんも同時にレシピを使えるようにしないといけませんね。


H:工務店さんと一緒に育っていくというのは大事ですね。いくらレシピの図面で施工手順を示しても、渡しただけではやってくれないので。



領域を横断する不動産会社へ




M:最後の質問です。平和建設さんの今後の展望をお聞かせいただけますか?


H:私はNPO法人日本ホームインスペクターズ協会(JSHI)の関東エリア部会執行部に携わっているのですが、そこでは不動産・建築・施工・金融・鑑定など様々な分野のプロが集まって、建物の状態を包括的に診断しアドバイスを行なう「ホーム・インスペクション(住宅診断)」という専門業務を普及しようと切磋琢磨しています。そこで驚いたのは、各業界のプロたちが集まっているにもかかわらず、建物の劣化事象一つとっても業界ごとの視点や価値観(ルール)が異なっていたということです。私はそうした経験を経て、ルールを押し付けていがみ合うのではなく、それぞれのルールを理解したうえで、お客様にとっても建物にとっても一番良いアドバイスできれば良いのかなと思うようになりました。


不動産管理に売買仲介、モクチンレシピやホームインスペクションといった様々な領域を巡り巡って、いまは建築・不動産・デザインにまたがる様々な疑問の相談所になっていければと考えています。お客様から何を聞かれても一通りお答えできる通訳の様な。不動産の複雑な問題を、代わりに解きほぐしてあげるイメージです。


M:なるほど「通訳」とは面白い考え方ですね。それはきっと、不動産の問題がますます難しくなっていく今の時代に求められている、新しい仕事の形なんだと思います。


今回のインタビューを通して、平和建設が目指す場所を知れてとてもよかったです。引き続き、様々な形でお手伝いさせていただければと思います。本日はどうも、ありがとうございました!(了)


2018年2月某日。平和建設事務所にて収録。



インタビューを終えて





とても仲のよい平和建設の河邉夫妻。インタビューも明るく和やかな雰囲気で行われました。ホームインスペクションのような新しい取り組みも積極的に取り入れ、すでに30件を超える物件をレシピで改修されている平和建設。そのバイタリティには、いつも勇気付けられています。

レシピによる改修にとどまらず、トダ_ピースという具体的な運動体も立ち上がったいま、いよいよこれまでにない「まちの不動産」の仕事づくりが始まってゆくことでしょう。

平和建設による、戸田のまちに根ざした新たな活動に、モクチン企画はこれからも伴走してゆきます。




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