いつもの原状回復ではなんだか変わり映えがしない、差別化につながる仕上げに変えてみたい。そんなとき、内装仕上げにこだわるのはひとつの方法です。ただし、見栄えは大事ですが、メンテナンスのことやメリット・デメリットまで踏み込んで考えてみませんか? 今回は物件の印象を大きく左右する仕上げ材料の中でも、床材にフォーカスしてみましょう。
建材は日々進化していますが、なかなかどうして、本当にメンテフリーのものは見つかりません。最初にお金をかけるか、途中でお金をかけるか、考え方の基本を確認しましょう。
物件の維持にかかるコストは、イニシャルコストとランニングコストの二種類に分かれます。イニシャルコストはそれまでと仕様の異なる改修を行ったとき、新しい材料を導入するコストです。ランニングコストは例えば現状回復時の部分的な補修を指します。
最初の工事でかかる金額が安いからといって、その後も安くいくとは限らないということですね。
値段が安い、掃除がしやすい、柄が多い。クッションフロアは何かと便利ですよね?
賃貸物件の多くで採用されているのも納得ですが、その分差別化が難しいのは否めません。
例えばこういったフローリング風のもの。本物のフローリングではないのを誤魔化しているようで、傷んできたときの風合いはどうも味が出ません。通常、クッションフロアの価格は柄に関わらず同じです。同じ価格なら凝った柄のものにしたくなりますが、そこは思い切って完璧に無地のシンプルなものはいかがでしょうか。
例えば「のっぺりフロア」で紹介しているライトグレーのクッションフロアは、古い木部や砂壁を引き立たせてくれる優れものです。
クッションフロア全般のデメリットとしては、細かい張替えが難しく一箇所焦げ跡や凹みが見つかった場合も結構な範囲を張り替えなければいけない点です。材料・施工ともに安いのがメリットですが、入居者さんの使い方によっては現状回復に手間のかかる場合があります。
柄によっては事務所のように見えてしまったり、冷たい印象のあるフロアタイルですが、メンテナンスと合わせて考えると勝手の良い仕上げの一つです。
一枚単位での交換が可能なので、現状回復時の交換範囲を減らすことが可能です。
デメリットとしては、下地がきれいに仕上がっていないとタイル同士を継いだ箇所で段になり目だってしまう点です。
こだわり賃貸といえば、フローリングでしょう。樹脂製やプリントのフローリングも出回っていますが、足ざわりは本物の木かどうかをすぐに見抜きます。どうせフローリングにするのなら、本物の木が表に使われているものがおすすめです。
天然木を用いたフローリングには下記の二種類があります。
・無垢フローリング:無垢の木材から切り出されたフローリング。単価が高いです。
・複合フローリング:表面に天然木材を使用し、下面には合板が用いられています。
工事費用を考えると複合フローリングがおすすめですが、ポイントは表面に貼られた木材の厚みです。こちらが1mmを切るような薄いものだと、傷がついたときに下地になっている合板の部分が見えてしまいます。
複合でも表面の厚いものにすると、傷口があまり気にならず、木らしい味わいに変わります。ランニングコストという意味では、ワックスをたまに塗り直すなど、メンテナンスのみで済む点が魅力ですね。
!施工の注意点!
フローリングはクッションフロアやフロアタイルと異なり、材料の厚みが15mm程度の素材です。既存の床仕上げの上から貼ると、扉の開閉に支障の出る場合があります。扉を詰めたり、床下地からやり直す必要のある場合も考えられます。
コストを抑えて施工するならば、畳の部屋のように床下地があらかじめ下がっている部屋や、すでに分厚い床仕上げの使われている部屋で実施しましょう。
畳はどうにも人気がなくて…と思っていませんか?単体の素材としてみると確かに畳は今のニーズとは合っていないでしょう。しかし、物件は全体の組み合わせが印象を作るものです。和室はきれいに表替えした畳で、残りの予算は手前のキッチン室に、なんてバランスの取り方も考えられます。
いまとなっては珍しい仕上げだからこそ、面白い活かし方を考えてみましょう。
ここまで定番の材料を紹介してきましたが、最後に定番モクチンレシピの一つ「ざっくりフロア」をご紹介します。
こちらは通常下地として用いられる構造用合板を床仕上げに使用するレシピです。そのままでは表面がラフですが、しっかり研磨と塗装をしてあげることでフローリングとも違った、大きな木目が印象的な床に仕上がります。
こちらの材料の良いところは元々下地材なので、上からどのような仕上げ材でも施工可能な点です。また材料の規格上、元々和室だった部屋で使用すると、比較的手間なく施工できます。
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