アパートをリフォームするとき、もともと和室だった部屋を洋室にして、あたかも新築のように改修した事例をよく見かけます。モクチンレシピでは、あまりこうした改修方法しません。理由は、2つあります。
理由の1つ目はコストが(必要以上に)かかりすぎるということ。
もともとの壁の上からボードをはり、さらにそのうえから壁紙を貼るので、コストがかかるのは当たり前。
当然ながら、部屋全体に満遍なく手を加えないと「和室」は「洋室」にはなりません。
2つ目の理由は、木造であることの価値を全く生かすことができないからです。
ただでさえ、ワンルームタイプのマンションの空室が増えているなかで、築古あるいは木造であるからと言って、わざわざ新築マンションと同じ見た目にして勝負しようというのはナンセンスです。
どうせ、大手の物件検索サイトの築年数欄の築**年以内という項目をチェックされて、箸にも棒にもひっかからないのがオチです。
また、一つ目の理由とも強く関係しますが、新築のように見せようとすると、結局古いトイレやお風呂も変えなければいけなくなるので、泥沼状態になります。
一箇所をピカピカにすると、その他の部分が気になってしまうのが人間の性。
というわけで、モクチンレシピでは、そうした考え方は勧めません。
そしてそのかわりに大切にしているのが メリハリです。
たとえば、この写真をみてみてください。
普通に改修すると、結構な金額がかかってしまいます。
さて、メリハリをつけた改修にするとどうなるのでしょうか。
それがこちらです。
おい!どこが変わったんだよ。
と思うかもしれませんが、変わっています。大きく変わっています。
別の角度でみてみましょう。キッチンからです。
まずは改修前の状態。
そして、こちらがメリハリをつけて改修したあとです。
違いを理解して頂けましたでしょうか。
そうです、和室はほとんど手を加えず、水回りのキッチン・玄関に力を入れて改修しているのです。
<和室はちょっと手を加えるだけでいい>
和室はちょっと手を加えるだけで、十分整った部屋になります。
たとえば、壁面を「パキッと真壁」にするだけで、よい感じになるのです。
最小限、ほんのすこし工夫して整えるだけでよいのです。
ただ、それだけでは古臭い印象を払拭することは難しいので、そのときキーになるのが「その他の部屋」です。
たとえば、玄関、キッチン、トイレなどの部屋がそれにあたります。
基本的には大壁の部屋が対象になります。
そうした部屋は水回りが多いということもあるので、しっかりと改修しましょう。
レシピでいうと「ホワイト大壁」や「のっぺりフロア」なんかが有効です。
白を基調に改修すると、和室と対比的になり効果的です。
別の事例もみてみましょう。
まずはこちらが改修前の状態。
たたみの部屋が手前にあり、奥が大壁の部屋だというのがわかります。
そして、メリハリをつけて改修するとこのようになります。
さっきよりはわかりやすいですかね。
今回は和室側は、「ざっくりフロア」や「ひろがり建具」も使っています。
別の角度からもみてみましょう。
まずは改修前。
そして、改修後がこちら。
すこし角度が違いますが、許してください。
よく見ると同じ部屋から撮影した写真だということがわかっていただけると思います。
<見た目とコストにメリハリをつける>
このように、見た目的にも大きくメリハリをつけることが大切です。
そうすることで、新旧のコントラストが強くなり、和室の古さが逆に味になります。
また、こうした考え方をすることで、部屋数のバランスにもよりますが、普通にすべての部屋を満遍なく改修するのにくらべて、6割-7割くらいの金額で改修することができるのです。
しかも、新築のアパートには絶対に真似のできない改修です。
競争力が高くなります。
デザインは、コストとの戦いです。
しかし、お金があれば誰だって満足のいく部屋を作れるのは当たり前で、逆に限られたコストのなかでこそ、生まれる新しい発想もあるんじゃないかと私たちは思っています。
コストがないからといって、諦めるのではなく、このように発想の展開で、面白く、個性的な部屋づくりにチャレンジすることは、なかなか楽しいものですよ。
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