築30年前後のロフト付物件の効果的な更新

「リノベーション図鑑」では、モクチン企画が行った物件改修のポイントを解説しています。

今回は、築30年前後、バブル時代に建てられた物件を効果的に更新(改修)した事例をご紹介します。


この時期に建てられたアパートは多数存在しますが、多くの物件が建材・設備機器ともに経年劣化が進み、様々な更新が必要な時期を迎えています。しかしながら大規模な改修工事は、既に入居者がおり稼働している賃貸物件ではなかなか現実的でありません。


とはいえ、退去時にただ盲目的に原状回復するだけではなく、少しの工夫や視点を変えること・また目的をもって改修を行っていくことで少しずつ物件を更新し、魅力を作っていくことは十分可能です。

今回ご紹介するのは東京郊外、西武線沿線の静かな街にあるアパートです。最寄り駅から緑道を通り10分程度歩いた住宅街にひっそりと建っていました。


↑緑豊かな周辺環境です。裏手側には緑道もあり、穏やかな環境でした。


↑1階外廊下。隣地の緑が感じられます。


↑2階外廊下。屋根・目隠しは半透明で柔らかい光が入ってきます。



↑玄関方向より。手前には低い天井があります。


↑キッチン方向です。全体的に傷んでいる印象でした。



↑経年劣化によって建具は黄ばんでいました。また床材、木部共に濃い茶系の色味でまとめられており、少し薄暗い印象でした。


↑天井は高く、開放感があります。


↑ロフトです。天井面にはジプトーン(吸音ボード)が貼られていますが、こちらは壁紙や建具と違い黄ばみなどみられず、比較的きれいな状態でした。かなり広く、有効活用ができそうです。



以上が改修前の状態となります。


表装には全体的に汚損が見られますが、大きくて特徴的なロフト、印象的な木部(階段・梁・手すり等)などは部屋の魅力となりそうでした。一方で建具やユニットバスなど、建材が劣化してしまっている部分は周りがきれいになると逆に目立ってしまいそうでした。


立地も比較的良いのでこのまま原状回復しても入居者はきまりそうですが、一工夫加えることで新たな部屋の魅力を生み出すべく、モクチンレシピを活用しました。


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さて、この物件がどのように変わったのでしょうか。
それでは早速見てみましょう。








いかがでしょうか?


全体のベースを「のっぺりフロア」「押入れ居室仕上げ」を使い空間をシンプルに整えたうえで、「きっかけ長押」「ライティングレール」機能性・意匠性をプラスしています。


改修のポイントとして、収納部分に「押入れ居室仕上げ」を使い既存撤去・室内と一体化する事で以前よりも広く感じられる様になり、また併せて劣化した建具の問題も解決しています。今回の物件のような小さな1Rの場合は、「押入れ居室仕上げ」は特に有効です。


「ライティングレール」の設置や天井の照明器具の交換など、全体的に以前より照度が高くなっています。ロフト物件は空間が広いため、通常の居室よりも明るめになるように照明を計画する事がポイントです。


「きっかけ長押」はあえて既存の木部と色味を揃えずに、明るめの木の質感・表情を活かし独立した印象とすることで部屋のアクセントとして計画しました。「のっぺりフロア」と相まって、改修前に比べ明るい印象に変わりました。


特徴的だった木部は現況を活かし、補修のみにとどめそれ以外は手を加えていません。

また状態のよかった天井面・幅木、ロフト床面などは既存利用としています。






ユニットバスはお馴染みの「横幅いっぱいミラー」「ぴかっとバスルーム」を使い、明るく清潔にアップデートしました。本体を丸ごと入れ替えたり風呂トイレ別にするのは多額のコストが掛かりますが、だからといって何もしないのではく、まずはこれらのレシピを使い小さくとも魅力を作っていくことがポイントです。






外構には「木賃ナンバーズ」を使い印象を整えました。しっかりとした部屋番号のサインがつく事で、玄関周りの印象がUPします。また単調だった外廊下にリズムが生まれています。


こちらの物件では改修のたびに洗濯機置場を室内化していくなど、長期的視点を踏まえた改修がされています。アパートはどうしても大規模に一気に全体を改修するのは難しいですが、1部屋づつの改修でも目的を持っておこなうことで段階的に建物全体の価値を上げていく事ができます。


「アパート改修デザイン講座」「モクチンスクール報告書」では具体的な物件の物件の分析方法やレシピの組み合わせ方を学ぶ事ができます。こちらもぜひ参考にしてみてください!



この記事に出てくるレシピ

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