特集事例紹介:リノベーション図鑑
2017.08.02 
スッキリさせて、スパイスを加える。どうしようもないように思えるワンルームの改修。

ワンルームの部屋はアパートに限らず、マンションでも多い間取りです。そういう意味で言うと最も競争力の激しい部屋のタイプかもしれません。実際に、私たちも当初は古いいわゆる畳敷きのフォークソングで出てきそうなオンボロアパートを対象にプロジェクトをはじめましたが、意外に相談が多いのが、築30年くらいの(私たちが30歳前後の人間なので、ちょうど同じ世代)のワンルームタイプのアパートの改修依頼です。うまく個性を出したいところですが、一方で、部屋も究極的に狭く、かつ設備も3点ユニットバス(洗面、トイレ、風呂)でキッチンもユニット型なので何か手を加えようと思っても難しいのが実情です。今回は、そんなアパートをお持ちの方へ、「まだ諦める必要はない!」というエールを送る意味で、この事例をご紹介します。

こういう部屋、多いですよね?


そして、困ってませんか?


原状回復しても、よっぽど立地が良いなど、好条件じゃないと入居者がなかなか決まらないし、最終的にお金をかけて改修した割には、家賃を下げて入居者を見つける。そんな悪循環に陥りそうになっていないでしょうか?


賃貸運営に正解はありませんが、部屋が飽和状態、供給過剰状態の現在、思考停止して今まで通りのやり方や、人の真似ばかりしていてもあまり意味がありません。


さて、そういうときはやはり自分の目を信じて、そのアパートの課題や魅力を丁寧に見つけていくことからはじめましょう。




玄関は、薄暗い雰囲気です。と言ってもこういうタイプのアパートはだいたいそうですが...。


部屋が狭い割には、なんとなく空間全体がごちゃごちゃしているようにも感じます。


例えば、クローゼットのドア、そのまわりの縁、巾木、ゆか、壁など、ひとつひとつの要素に統一感がなく、色がバラバラだからかもしれません。


狭い空間のなかに、要素が多すぎるのです。


さて、こちらは出窓。



オールドスタイルな感じですが、活かせばアパートのひとつの魅力になるかもしれません。


ここから採光もとれているので、角部屋はやはりいいですね。


この出窓は、もしかしたらこの物件の特徴になるかもしれません。


そして、玄関から居室をみた写真がこちら。




なんとなく全体に暗い印象がします。


角部屋で採光がとれているのになぜでしょう?


こういう部屋は、なるべく要素を少なくして(例えば、色を揃えるとか、使う素材を制限するとか)シンプルな状態にし、そのうえで、物件のポイントとなる何かプラスαの工夫をするとよいです。


それでは実際に改修した状態をみてみましょう。






いかがでしょうか?


全体的にすっきりとした印象になり、明るい雰囲気に変わったと思います。


一つづつ何をしていったのか説明していきましょう。


その前に、ほかの角度からも部屋をみてみましょう。



まずはポイントは「ホワイト大壁」で、綺麗な白い壁を作ったということです。


壁紙を張り替え、クローゼットの扉、廻り縁、巾木など細かい部分の色味を壁紙と合わせて揃えていきました。


結果的に余分な要素が少なくなり部屋全体がすっきりとした印象になるのです。


その上で、「チーム銀色」によって、取手、スイッチプレート、カーテンレールなど細かいパーツは銀色の製品で揃えられています。


これだけでも驚くほど、部屋の印象を変えることができます。


また、予算があればですが、床は「幅広フローリング」でゆったりした感じにするのもよいでしょう。


別の角度からもみてみましょう。




どうでしょうか。玄関も余分な色が消え、全体的にシンプルに整えたことで、明るくスッキリとした印象になっているのがわかると思います。


なんとなくですが、部屋全体の奥行きというか広さも感じられるようになった気がします。


さて、ここから少し応用編ですが、出窓に一工夫加えています。


額縁ウィンドウ」によって木製フレームが取り付けらています。


無機質だった部屋に、床と合わさって、木部の暖かみのある質感がプラスされています。


また、機能的にもレベルアップしています。例えば、上に好きなものを置いて飾ったり、



あるいは、フックが裏側についているので、鍵やトートバックなど、大事なものをかけたりすることもできます。



このようにして、全体的にすっきりした印象のさわやかな部屋に改修することができました。


まずは、ベーシックにすっきりとシンプルな部屋にすることを心がけてください。


普通の原状回復だけではこのようにはなりません。


注意深く品番や色を選ぶ必要があります。


また、そこから何かプラスαで部屋に特徴を与えられる「ポイント」を考えてみるとさらによいでしょう。


では!



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