特集イベントレポート
2020.12.11 
モクチンパートナーズ 実務セミナー(第二回)レポート「住宅診断のポイント(中古物件の評価、災害後の対処)」

11月26日(木) 18:00〜19:00に“不動産管理の実務”に焦点を当てた「モクチンパートナーズ 実務セミナー」の第二回を開催しました。この記事では、その内容についてのレポートをお届けします。


第一回「これからの管理会社の在り方」に続き、第二回は「住宅診断のポイント 」をテーマとして、ゲストに平和建設株式会社代表で、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会(以下、JSHIとする)理事の河邉政明さんをお招きし、お話を伺いました。


不動産管理会社を経営されながら、個人で住宅診断も行う河邉さん。ご自身も建築に関しては門外漢であったからこそ、依頼者の不安や悩みによりそった診断の必要性を重視されている姿が印象的でした。

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「モクチンパートナーズ 実務セミナー」は10月から12月まで計3回シリーズで行われる、専門的なレクチャーと質疑応答の時間を設けたセミナーです。「モクチンレシピ」に限らず、専門知識への理解をモクチンパートナーズ全体で深めていくことが目的のひとつとなっています。

 

第二回となる今回のレクチャーでは、パートナーズ会員の一社である平和建設株式会社代表の河邉政明さんをお招きしました。実際に診断に使用する道具などもご紹介いただきながら、具体的に、インスペクションで大切にしていることや、診断の際のチェックポイントについてお話いただきました。また、レクチャーの終盤では、台風19号で管理エリアの床上浸水を経験された際の様子についても伺いました。

 

 

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1. 住宅診断とは?




住宅診断は、住宅の「一次診断」として、目視・体感・問診で可能な限りの劣化状況を診断するもので、人間で言うところの「健康診断」にあたるもので、見える範囲、届く範囲内で検査するため、壁や天井を壊すことはしないそうです。そのため、ホームインスペクションで全てを把握することはないため、専門的な対応が必要になれば、そちらにつなぐ通訳のような役割とも言えます。


河邉さんが公認ホームインスペクター(住宅診断士)資格試験を受験するきっかけとなったのは、東日本大震災の際に入居者から「この建物大丈夫?」と聞かれ、明確に答えらなかったことがきっかけだったと言います。


JSHIには、建築士や施工・修理をされている方々、デザイナーなど、様々な業種のプロの方が参加しており、外壁のヒビ割れひとつとっても、インスペクターごとに解釈は異なるそうです。


劣化事象や施工不良などが見つかった際に、専門用語を並べて説明すると(河邉さんはこれを「専門知識のマウンティング」と表現)、依頼主は判断がしづらく、より不安を感じます。そこで、住宅診断では、入居者の利用の用途に応じた適切かつポジティブなアドバイスをすることが大切だと河邉さん。


実際に、実地セミナーとして、平和建設(株)の管理物件で複数のインスペクターがそれぞれの診断解釈をした際に、専門家ではなかった河邉さんは、誰の言うことを信じて良いかわからなかったともおっしゃっていました。



2. 住宅診断のポイント




ここからは、実際に診断のための道具も見ながら、診断のポイントをレクチャーいただきました。


建物も、車と同じように、経年とともに不具合が出てくるのは仕方がないこと。何年経ったかというよりは、今どういう状態になっているか、で補修するかどうかを判断するそうで、五感を使っての診断が多かったため、確かに誰でもすぐに意識できそうな内容がほとんどでした。


レポートでは、要約してお伝えしますので、詳細解説は、追って公開するアーカイブ動画の中で、ぜひお確かめください。



◆住宅診断の超カンタンPoint!(屋外)

①チョーキング…外壁の塗膜は劣化していないか。

②コーキング…ひび割れを塞ぐゴム材は劣化していないか。

③クラック…建物にヒビはないか。(深さはシャープペンシルの芯で測るそう)


◆住宅診断の超カンタンPoint!(屋内)

①変色…天井などの色。雨漏りしていないか。

②匂い…カビ臭さかったら、湿度に問題がある可能性。

③触診(水漏れ)…排水管の漏れはないか。触るのが一番早い。

④五感(傾斜)…傾斜はないか。全体的に歩き回る。


◆メンテナンスの際のチェックポイント

①塗膜のさび…階段の踊り場の下など見えない部分もチェック。

②雨樋いのつまり…溜まった水が溢れて、木部を腐食させることもある。

③排水口のつまり…屋上の排水口が詰まってプールになっていないか。

④植物のツタ…ツタが壁面にヒビをつくっている可能性。


最後に、「持っていると便利なもの」として実物をお見せいただいたものは以下の4点です。


①クラックスケール…ひび割れが測れる。財布にも入るサイズ。

②ライト…光量が強ければ強いだけ良い。見えなかった傷など見えるようになる。

③水平器…建物の傾斜を測るのに必要だが、専門性が高めかも。

④カメラ…屋根裏、床下など、人間が入れない場所もよく見ることができる。



3.災害時のチェックポイント




実際に、台風19号の被害を受けて、平和建設(株)も雨漏れの相談が多く寄せられたと言います。


この時には、普段は来ない横や下から雨が吹き付けることによって漏れている可能性もあるので、エアコンの管を埋める粘土やサッシのコーキングのヒビ割れを確認したり、網戸とガラス戸の配置を変えることで吹き込みを軽減できないか試したりと、対応をされたのだそうです。


入居者も、状況がわからないと怖くてクレームに繋がることもあるが、ちゃんと原因がわかると何をすれば良いかがわかるようになります。


また、戸田市は、荒川の支流などから水があふれて床上浸水した住宅もあり、その際には、再建築不可の50年の物件をリノベーションした入居者専用フリースペースを緊急避難先として使ってもらうなど、保険が下りるかわからない状況下で対応をしたとのことでした。




最後に、河邉さんは、オーナーとの良好な関係を築き、劣化した建物の危険性を正しく伝えていくことが管理会社にとって大切だということをお話されて、レクチャーは終了しました。


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次回の実務セミナーは、12月17日(木)18:00〜19:00、「築古物件の修繕計画・メンテの秘訣(基本となる知識、保険活用) 」ということで、パートナーズ会員 (株)マチモリ不動産の三好 明さんにお越しいただきます。お楽しみに!


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