特集トダピースが考える「価値を生みつづける賃貸ってなんだ!?」
2020.02.07 
第2回:入居者と不動産屋でシェア!?

モクチン企画のパートナーズ会員である平和建設の河邉さんと創る「価値を生みつづける新築木賃アパート」プロジェクト。どんなことを考え、どんなことに悩み、どうやってプロジェクトを進めてきたのか、河邉さん自身が赤裸々に綴っていきます。

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埼玉県の戸田市にある、ちいさなまちの不動産屋の2代目、平和建設㈱河邉政明と申します。古くなった物件をモクチンレシピで改修し、建物も住まう人も変わっていく奇跡を見せてくれたモクチン企画が「30年先を見据えた賃貸物件をつくったらどんなものが出来るんだろう?」という妄想をカタチにしていくまでの「カクカクシカジカ」をお話させて頂いております、しばしお付き合いくださいませ。


価値があがる賃貸ってなにか考えはじめてみた。


賃貸物件と言えば、

「最寄駅」「徒歩〇分」「築年数」「床面積」といった「変えられないもの」が大前提としてある中で、そのエリア内の「近い条件」の物件相場から賃料設定を行うことが一般的です。


物件検索サイト(orポータルサイト)にはそんな「近い条件」の空き部屋が大量にならび、その中から選ばれるために設備やセキュリティ、フリーレントや値下げキャンペーンといったわかりやすい条件を一つでも多く増やしていくことが「決まりやすい物件=価値ある物件」とされています.


仮にこの場所で1Kのお部屋を建築した場合、


・最寄駅 =戸田公園駅

・徒歩〇分=15分

・築年数 =新築

・床面積 =約20㎡


となり、物件検索サイトの近隣相場と照らし合せると一部屋当たりの賃料は、65,000円/月~という見立てになります。


新築のうちは物件検索サイト内においても「新しさ」という他物件と競合しない価値があるので検索でも優位性を保つことが出来ますが、年数を追うごとに大手ハウスメーカーによって続々と建築されるであろう1Kとの検索合戦に飲み込まれるのは必須・・・。


そんな時のために「BT別」「エアコン」「独立洗面台」「オートロック」「TVモニタ-付インターホン」「宅配ボックス」等々、一人暮らしに人気の設備を20㎡という限られた空間に「ギュッ」と詰め込み、将来の空室リスクに備えて予算の許す限り目一杯武装した状態で市場に送り出すわけです(笑)。


とはいえ住宅設備も日々進歩し新商品も続々と開発されている中、物件の新しさや設備の数で比較される物件検索サイトにおいては、年を追うごとにどんどんと不利になっていきます。


古くなっても値下げやリノベーションをしなくても価値が下がらないようにするにはどうすればいいのか???


ワタクシ的には、収益性を考慮し建ぺい率を目一杯使って「1Kアパート×6世帯」を建築し、細部にモクチンレシピを使った「デザイン重視」のアパートが出来るであろうと勝手に妄想を膨らませていたのですが、モクチン企画さんの第一声は


「シェアスペースをつくることで、建物の価値を上げていきましょう!!」


という提案!!


「しぇあ―っ?!?」



モクチン企画さんによる最初のラフプラン

 

・1階部分をアトリエとして開放したテラスハウス(重層長屋)×2戸

・シェアスペースつきのテラスハウス×1戸


しかも


「シェアスペースは河邉さんと入居者さんで上手に共有しながら使って下さいね〜。」


と言われました!!


業界的には借主に空間を占有させること、「床面積(㎡)=価値(賃料)」ですから、借主の専有面積(㎡)を減らすことは収益を下げることになります。


ましてやシェアスペースをつくるなんて、貸し出す面積が減って価値(賃料)が下がってしまう…


しかもこのプランでは想定していた1/2の世帯数になってしまうではないか。


いきなりピンチ到来!!!


どうなる、このプロジェクト!?


頭が混乱してしまいクラクラしてきた...。


(第三回へつづく)


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